
「学生の頃、ジャズ喫茶で飲んだコーヒーに魅了されたんです。それまでは“苦い飲み物”という印象しかなかったのですが、その一杯で『コーヒーにはこんな深い味わいがあるのか』と気づきました。その体験がきっかけで、もっと知りたいと思うようになったんです。」
と話していたグリーンアイズ先代の森口
鍛(きたえ)さん。
京都にある小さな焙煎所「グリーンアイズ」が届けるのは、ただのコーヒーではありません。
無農薬・無化学肥料で大切に育てられた豆を、現地農園との信頼関係をもとに直接仕入れ、日本の食卓に届けています。
小さな農園で育つ、安心の豆
グリーンアイズで扱う豆は、なるべく小さな農園で、農薬や化学肥料を使わずに育てられています。
日本のJAS認証や海外の有機認証を受けたものだけを仕入れ、さらにフェアトレードで輸入。
現地の農場に足を運び、顔の見える生産者と直接つながることを大切にしてきました。
こうした背景があるからこそ、大量生産では決して生み出せない一杯が生まれるのです。


焙煎は「急がない」こと
本当に美味しいコーヒーを決めるのは、豆の品質、そして「焙煎」です。
グリーンアイズでは、豆ごとに最適な温度と時間を見極め、20〜25分かけて低温でじっくり焙煎します。
一般的なブレンドコーヒーは、生豆のまま複数種類を混ぜて一度に焙煎することが多いですが、ここではすべて単品で焙煎。 それぞれの豆の個性を最大限に引き出してからブレンドするため、雑味がなく、澄んだ香りと味わいが生まれるのです。
焦げや生焼けを避けることで胃にも優しく、冷めても美味しい。 それは「急がない焙煎」だからこそできる味です。


豆の旅路を経て
収穫された豆は、丁寧に水洗いされ、時間をかけて自然乾燥されます。
その後、オーガニック認証の刻まれた麻袋に詰められ、遠く日本へとやってきます。
コーヒー豆は非常に酸化しやすく、焙煎や保管が雑だと味も香りもすぐに落ちてしまいます。
だからこそ、産地から日本までの過程すべてに気を配ることが、美味しい一杯につながっているのです。


世界を旅するような一杯

グリーンアイズには、世界各地から届いた個性豊かな豆が揃います。
・グァテマラ:
コク・酸味・香りの三拍子がそろう最高級※SHB。
※コーヒーのSHB(エスエイチビー)とは、グアテマラなど特定の国で、コーヒー豆の産地標高が最も高い場所(1,300m〜1,350m以上)で栽培されたコーヒー豆の「最高級グレード」を指します。
・東ティモール:
独特の強い香りと苦み、ミルクに負けないコク。
・ラオス:
クセがなく、すっきりとした飲みやすさ。
・ルワンダ:
華やかな芳香と穀物の甘みを併せ持つ特別な一杯。
・ウガンダ:
爽やかな味わいに加え、売上の一部が子どもたちの教育支援へ。
・ヨーロピアンブレンド:
メキシコ、ペルー、グァテマラ、ブラジルを単品焙煎後にブレンド。深煎りなのに後味は爽やか。

まるで世界を旅するように、一杯ごとに違う個性を味わうことができます。
先代から受け継がれた想い
グリーンアイズを創業したのは、先代の森口鍛(もりぐち きたえ)さん。
学生時代にジャズ喫茶で出会った一杯からコーヒーに魅了され、コーヒー豆の卸会社で15年間経験を積んだのち、1992年に独立。
焙煎・選豆・買い付けまですべてに関わり、「顔の見える一杯」を信条に活動してきました。
「おいしいコーヒーの立て方」ワークショップを開いてくださり、多くのお客様にコーヒーの奥深さを伝えてくださいました。
惜しくも先代・森口鍛さんはすでに亡くなられましたが、現在は息子さんがその志を引き継ぎ、焙煎所を守っています。
父から子へ受け継がれた想いは、今も一杯のコーヒーの中に生き続けています。
一杯に詰まった想い

生産する人、運ぶ人、そして飲む人。
そのすべてがつながってはじめて完成するコーヒー。
グリーンアイズの一杯には、先代から受け継がれたまっすぐな姿勢と、それを守り続ける家族の想いが込められています。
どうぞ、深く香り立つその一杯に耳と舌を傾けてみてください。